コーチングの極意

ここ最近、育成やコーチングについて考え実践する機会が増えました。現時点での考えを備忘録的にまとめておきます。また、育成に関わる誰かの参考になったら、とても嬉しく思います。

これは余談ですが、自分が「コーチング」に興味を持った理由は2つあります。

1つ目の理由は、学生時代から人を育てることや教育に強い興味関心があったということです。塾講師時代に、大変僭越ながら、生徒の人生を変えるきっかけや機会を提供できたと思えることにとても喜びを感じました。自分は、身につけた能力や学びを、人に伝承して、その人の人生に良いきっかけや機会を与えられることが純粋に嬉しいと思っています。

2つ目の理由は、今の会社での職種が、「経営管理」と「子会社社長」を兼務しているということです。これまでは、圧倒的プレーヤーとして成果を出す、ということに多くの時間を集中してきました。今は、会社で起こる全てのことに責任を感じ、より経営や未来に時間を使う比重が増えてきました。自分の時間をかけすぎずに、チームの成果を最大化させるには、「コーチング」がとても効果的だろうという直感から、学び実践しようと思いました。

前置きが長くなりましたが、コーチングの極意ということで、大切だと思うことを10個まとめていきます。

①引き出しの量

部下育成やマネージャーあるあるとして、「自分がこれまでされてきたことを良かれと思って部下にする」というのがあります。これまでの自分のやり方が評価されてそのような立場になっているということもあり、何も悪気なく、部下に自分のやり方を押し付けてしまうのです。

しかし、メンバーに活躍してもらったり、メンバーの強みを活かすには、たいてい自分のやり方がそのまま当てはまらないことが多いです。「10人の部下がいれば、10通りの導き方がある」と思いますし、正解が無いからこそコーチングや育成は奥深いと心得ることが大切です。優秀なマネージャーに共通することが、育成の型となる引き出しが多いというのがあると思います。

②日々の「対話」が大切

上にも書いたとおり、メンバーが何を思うかは本当に人それぞれであり、正解がありません。だからこそ、メンバーとの対話が何より大切です。また、定期的な面談での対話だと足りない場合や時間がかかることが多いです。面談などの場を待たずに、こまめに毎日のように会話をし、日々コーチングを意識することが大切だと考えます。

3分間コーチという本にも、「メンバーを考える時間」と「メンバーと話す時間」を取ることの重要性が書かれています。本のタイトルにもあるように、短い時間でも日々こまめに声掛けをすることが大切です。

③ティーチングとコーチングの使い分け


コーチングとティーチングは、意図して使い分けることが大切です。時代背景としては、テクノロジーの進化が速い現在において、部下の創造性や主体性を引き出せるコーチングの重要度が増しています。本人のやりがいや学びの深さを高める上でも、コーチングを多く活用することを推奨したいと、僕は思っています。

とはいえ、ティーチングが有効な場面もあります。それは、新人育成や、短期で成果を出さないといけない時などです。コーチングは、教えるということをせず、本人の中から答えを引き出すものなので、スキルや知識が少ない新人育成においては、ティーチングが有効です。

※ 参考記事→【コーチングとは】「コーチング」「ティーチング」のメリットと限界

また、上司の9割は「育て方」を知らないという動画にも似たような言及があったので引用します。

動画では、かなり端折って要点まとめると、

・「指示を与える」と「気付きを与える」のバランスが大切(メリデメは左上図参照)
・指示を与える = ティーチング
・気付きを与える = コーチングとカウンセリング
・課題がある人にはカウンセリングが有効、課題がない人にはコーチングが有効
 →課題を抱える人にゴールを目指させても考える気力がなくなる

ティーチングとコーチングとカウンセリングを、バランス良く比率調整して使いこなしていきたいです。

④「型」を知る

コーチングは、表面的なスキルよりも、マインドや考え方が大切です。一方で、具体的なアクションプランに落とし込む上で、一般的な型を持つことも大切です。自分が無意識でやっていたことがコーチングの本を読むと言語化されていたので紹介します。

1. 望ましい状態の明確化(目標/理想
2. 現状の明確化(現状
3. 目標と現状の差分を理解する(差分分析/目標の解像度上げ
4. 行動計画の立案(施策列挙と優先度付け/アクション
5. フォローと振り返り(最後まで見届ける聞き届ける

これは、業務においても、キャリアにおいても、プライベートにおいても使えるフォーマットです。上記以外にも便利なテクニックとして、

・とんでもリクエスト(200%達成思考/半分の時間でやるには)
定期リマインド(これによりモチベーションを長期で維持させる)
具体化により行動変化を促す(抽象度高いと動けない)
・不満は課題化して建設的に解決に向かわせる
・mustではなくwantで語る(べきべき言うと窮屈になる)
・沈黙の活用(急いで言わせない。待つことで本音を引き出す)
・「枕詞」や「かもトーク」が便利
 →「◯◯さんを思って率直に言うと〜」は率直フィードバックの枕詞として便利
 →「◯◯かも」と語尾にかもをつけることで耳の痛いフィードバックが和らぐ

なども使えます。

⑤明るい「未来」に目を向ける

曽山さんの動画が非常にわかりやすいのでおすすめです。良い面談は「期待」がセット、ということをわかりやすく説明してくださっています。

※ 曽山さんは、サイバーエージェント常務執行役員CHOの方です

面談やコーチングにおける禁忌として、「過去x否定」というものがあります。「なぜできなかったの?」と言われても、過去できなかったことは言い訳のしようがありません。変えようのない過去ではなく、「これからどうするか?」といった明るい未来について、話す時間を多く取ることが大切です。

⑥WhyではなくWhatやHowで置き換える

「なぜできなかったの?(Why)」は、言い訳のしようがなく、本人の自尊心を傷つけたり萎縮させて行動できなくさせたり、デメリットしかありません。

「どうするのが良かったか(How)」や「障害となっているものは何があったのか(What)」などの言葉に置き換えることで、構造的な解決方法を考えることができます。過去ではなく未来に目を向け、ポジティブで建設的なアクションにつなげることが大切です。

⑦思考やイシューのシンクロ

「メンバーの考え(モチベーションの源泉)を知る努力」と「自分の考え(思考の源泉)を知られる努力」はどちらも大切です。思考プロセスはしきい値低く発信をし、文化や大切にしたい考え方なども「自分の言葉で語る」機会を増やしていきたい。

⑧目標設定が大切

目標設定については、曽山さんがたくさん動画に上げてくださっています。

自走目標 →意義を伝える、キャッチコピーにする
P&Pフレームワーク →Passion(自分軸)とPurpose(組織軸)のベクトル合わせる
IMPACTモデル →ワクワクし、覚えやすく、成果(notアクション)に基づく、貢献度の高い、今に焦点当てた目標を立てる
20文字ゴール →自分も覚えやすく、応援されやすい
セリフメソッド →定性的な目標は、セリフ化することで定量化

目標設定で迷ったり、ピンとこないことがあれば、上記を参考にすると良い目標が立てやすくなりおすすめです。色々書いていますが、本人の納得感が大切なので、低すぎず高すぎず、本人と対話をして目標を決めていきましょう。

⑨Iメッセージ

伝える相手にとって、修正的なフィードバックや耳の痛いような内容を伝えるときは、「Iメッセージ」が有効です。Iメッセージというのは、「私はこう思います」と今の自分の気持ちを伝えるということです。「あなたはこうだ(Youメッセージ)」という決めつけは、逆効果となるので使わない方が良いでしょう。また、Iメッセージに加えて、「◯◯さんはどう思う?」と聞くことで、余白のある伝え方ができ、受け手は受け入れやすくなります。

⑩人に対して諦めない

心構えとしては、これが1番大切だと思います。育成者自身が圧倒的成長をすることで、メンバーの強みを活かし成果が最大化されるという考え方です。育てる側と育てられる側は、50:50で責任があると思っていますが、育てる側の心情として、メンバーの可能性を誰よりも信じ抜けることが大切だと思います。


色々書きましたが、言うは易く行うは難しです。試行錯誤しながら、うまくできるようになっていきたい。今後自分が人を育てていく上で大切にしたいことを備忘録的にまとめました。

また、参考にさせていただいた書籍もたくさんあるので、以下に参考文献として載せておきます。

(参考文献)
3分間コーチ
図解 コーチングマネジメント
コーチングが人を活かす
目からウロコのコーチング
最高のコーチは、教えない
エグゼクティブ・コーチング入門

田村俊太郎のOwnd

『Well-Beingの輪を広げていく』『Best Workstyle for Best Performance』『生きるをもっとポジティブに』

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